横浜の風景

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2020年3月22日

月光

アイキャッチ画像 考えたこと

弁護士になって、父になって、事業主になって、色々なことを考えたし、成長したと思うし、大人になったと思う。特に独立してからのこの1年間は、毎日新しいことを考えて、たくさん学んで、悩み苦しんで、日々成長できた自負がある。

けれど、何かが足りていない。思いきり何かが足りていない。自分が自分でないような気がする。

音楽活動をやめて、長かった髪を切って、髪を黒くして、法律の勉強を始めた時から、自分は、「まともで、明るくて、男らしい」人間に憧れるようになった。社会でうまく生きていくにはそれが一番だと思ったからだ。

もう10年以上前のことだから、本当の自分がどうなりたいのかはわからない。思い込みや成り行きで自分の生き様を決めてしまったようなところもあるだろうけれど、10年以上も思い込んでいればそれは本当らしい信念になってしまうだろう。

頼れる夫、かっこいい父親、安心して依頼できる弁護士に、なりたくないわけじゃない。「まともで、明るくて、男らしい」人間に、なりたくないわけじゃない。そうもありたい。けれど、それだけで自分は満たされるのだろうか。

今振り返って思うのは、自分はミュージシャンという職業になりたかったのではなくて(町の弁護士は天職だと思っている)、耽美的な世界に浸っていたかったのだ。子どもかもしれないしピーターパンかもしれない。けれど自分は、綺麗で切なくて、情念がぐわっと揺らぐような儚さに身を沈めていたかったのだ。

写真は、19歳になる直前くらいの自分。この時はこの時でいろんなことで悩んでいたけれど、自分に嘘はついていなかった。親から心配されても、呆れられても、自分はやりたいことをやるんだと、夜じゅう曲を書いてギターを弾いて、髪を伸ばして化粧をして、好きなアクセサリーをつけて、とにかく夢中だった。大人たちに文句を言わせないように、勉強もちゃんとやった(やってやった)。それだけのエネルギーがあった。

そんな自分が今でも時々顔を出す時がある。けれど、社会で健康的に生きるにはそんなものは全くもって邪魔なのだ。情念は行動で叩き潰すのが社会的幸福の扉を開く一番の鍵なのだ。

独立してから、精神を壊さずに最良の仕事をするために、定期的にカウンセリングに通っているのだけれど、カウンセラーの先生にこのことを相談したら、「そういう面を、闇や黒歴史だと思わずに、雄大さんにとっての月の光だと思えばいいんじゃないかしら」と言葉をいただいた。この言葉が自分にとってとても大きな救いになった。

自分は弁護士であり父であり夫である。まともで明るくて男らしい人間であることを求められるし、自分もそうありたいと願ってきた。

けれど自分はそんな太陽みたいな人間じゃない。正確には、太陽みたいな面しかない人間じゃない。自分の月の部分も大事にしてあげないと崩壊する。それは陰陽相入りて人間ができているのと同じだ。

とりわけ自分は月の面が強い人間だし、月の光に惹かれてきた人間だった。

まず、中学時代の運動部以来にバリカンで刈り始めた髪の毛を少しずつ伸ばすところから始めようかなと思う。昔みたいに伸ばすわけじゃないし、社会人であることは弁えるけれど、合理性や身軽さを犠牲にしてでも美しくありたいと思っていたあの頃の自分が、きっとどこかにまだ隠れている。

独立2年目は、仕事に邁進するのはもちろんだけれど、自分の両面を大事にしてあげたい。きっとそれがマインドの安定につながって仕事にとってもプラスになると思うから。


saitoyuta
弁護士

横浜・桜木町を拠点に活動する弁護士。5年3か月の勤務弁護士時代を経て独立開業。一児の父。精通分野は交通事故(被害者側)。

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