横浜の風景

ブログ

2020年1月19日

基地

アイキャッチ画像 考えたこと

先日、仕事で熱海に寄る機会があり、乗り換えの関係で少し待ち時間があったので、良さげなカフェを訪れてみた。

CAFE KICHIというところで、駅からほど近い。商店街の通りから少し脇道に入ったところにある。和モダン的に「吉」の意味なのかと思っていたら、「基地」だそうで、良い意味で裏切られる。

自分は自他ともに認めるカフェ好きで、自分で豆を焙煎したりもしてたのである程度は味の違いもわかるけれど、このカフェはとても素晴らしかった。

トーストのセットを注文。これがうまいのなんの。季節のジャムと一緒にいただく。一口ずつ口の中で広がって溶けていく感覚で心が研ぎ澄まされる。店のブレンドコーヒーも美味。

そして何より店の雰囲気が良い。静かで、澄み切った店内の空気。一人客が多く静かだったから、途中から来た二人客も気を遣ってとても小声で話すほど。周りの客があまり目に入らないような作りになっているので、静かに読書に浸ることができた。

平日の昼間だったからなんだろうなとは思う。待たずに入れたし、席も自分で選べた。休日になるときっと混雑して、にぎやかな客も訪れるのだろう。

東京や横浜にもいいなと思うカフェはあるけれど、センスの良いカフェはだいたい混みすぎていて落ち着かない。中目黒の某カフェは、店員さんとも仲良くなって一時期かなり通っていたけれど、最近はいつも混んでいて落ち着かない。待っている人がいるのがわかると勝手にソワソワして急いで退店してしまう。求める人が多いのだし、自分も他のお客さんにとってその落ち着かない原因の一つなわけだから、お互い様なのだけれど。

やっぱり熱海とかもそうだけど、観光地のセンスの良いカフェに平日昼間に行くのが狙い目なんだろうなと思う。

門司港に「CONZE BLANC」というカフェがあって、地元の人におすすめしてもらったのだけれど、ここはものすごく雰囲気の良い店だった。画像で見るとそこまで?って思うかもしれないけれど、もし行く機会があったらぜひその空気を感じてほしい。吸い込まれていくような圧倒的な魅力のある空間なのだ。もちろんスイーツもドリンクも当然のように美味。センスがいいのだから当たり前なのだけれど。

ぶっちゃけると、そのへんのカフェのメニューなんてのは自分で作ってもそれなりのものが作れるのだ。何年も毎日のようにコーヒーを淹れているとそれなりの腕前にはなってくるから、自分の淹れるコーヒーはそのへんの喫茶店やチェーンのカフェのものよりは美味しい自信がある。フードも、たとえばフレンチトーストなら前日の夜から卵と牛乳に漬けて冷蔵庫に入れておくという一手間をかけるだけで、普通の食パンを使ったってそのへんのカフェで出てくるレベルは余裕で再現できる。ちょっといい食パンを使えば簡単に頭ひとつ抜けた味になる。

世の中、みんな仕事をして生きていかなければならないのだから、圧倒的なレベルに達しないと金をもらえないなんてことはない。どんな仕事もそうだ。それなりに真剣に取り組めばそれなりに対価をとれるレベルにはなる。

味で圧倒できるほどのカフェは都内でも何軒あるかというレベルだろう。でも街にはカフェが所狭しと林立している。ただ話す場所が欲しいという人も沢山いるだろう。仕事をしている人も沢山いるだろう。そういう人たちにとっての居場所ならばそれでいい。けれど、一人でゆっくりと自分を見つめる時間が欲しいという人も多くいるはずで、自分も含めて、そういう人間にとってもカフェは大事な場所なのだ。

このKICHIみたいなお店がずっと続いてくれるように願うばかりだし、気に入った店があったら出費は惜しまず、近くにあるなら何度でも通って応援したいと思う。

カフェはファーストフードじゃない。でもコーヒー一杯で何時間も長居する客を相手に霞を食べるようにして経営できるわけじゃない。生き物なのだ。


saitoyuta
弁護士

横浜・桜木町を拠点に活動する弁護士。5年3か月の勤務弁護士時代を経て独立開業。一児の父。精通分野は交通事故(被害者側)。

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