
ブログ
プロデュース

以前、「ピカピカな本質」の記事で書いた相談室のリニューアルがいったん完了した。
今までと全く別の相談室になったんじゃないかと思うくらい、開放的で、生きたエネルギーに満ちた、素敵な空間になった。
写真は窓側だけれども、玄関側の方も素敵な感じに仕上がっているので、お越しになる機会がある方は是非見ていってほしいと思う。
全く法律事務所っぽくないのでとても気に入っている。自分はいわゆる一般的な弁護士のイメージにも法律事務所のイメージにも嵌るつもりは一切ない(弁護士倫理はとても大切にしているけれども)。
これはひとえに、リニューアルを全面的に引き受けてくれたソウルメイトのセンスによるところだけれど、プロップスタイリングというのは単なるインテリアや物の配置だけではなくて、空間そのもののコーディネートなんだなあということを実感した。
彼女は普段から上質なアクセサリーを作っているから、手先はものすごく器用だし、細かい集中力もすごいのだけれど、何よりも感性豊かだから、空間全体をざっと把握してイメージしていく力が強いのだと思った。
空間デザインに限らず、仕事でも生活でもなんでも、大切なのは枝葉末節ではなく、全体の印象のコントロールだと思う。パッと見た時のハッとする感じというのはとても大切だ。
以前、神奈川の某支部で、僕の法廷での姿を見ていた傍聴人の男性が、法廷の外で話しかけてきて、「少し困ったことがあって弁護士を探していたのだけれど、この地域にどんな弁護士がいるのかわからないから、裁判を傍聴して信頼できそうな先生を探そうと思った。先生は他の弁護士と違うと見てすぐわかった」と、名刺を求められたことがある。
まさか裁判所で年上の男性にナンパされるとは思わなかったので驚いたが(笑)、素直に嬉しかった。
民事裁判は、尋問を除けば、当事者でなければなんの話をしているのか全くわからないことがほとんどで、その時もそうだった。彼はただ僕の立ち居振る舞いだけを見て、この人に頼みたいと思ってくださったのだ。
しかし、ハッとする感じが出せるのは、細かいところをきっちりしているからというのもある。
例えばファッションで言うと、袖や裾のほんの少しの長さの違いで、野暮ったいか垢抜けているかの印象の違いが出る。
要するに、「神は細部に宿る」という言葉の意味は、全体の印象を左右する細部がどこなのか的確に捉え、その細部についてはきっちりとする、ということなのだと思う。
全体に影響のない細部にこだわるのは、ただ神経質なだけで、全体の印象をネガティブにしてしまう。
リラックスして、ポジティブに細かくありたいなと思う。