横浜の風景

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2022年3月2日

ピカピカな本質

アイキャッチ画像 考えたこと

このブログは、依頼者の方をはじめとして、友人知人、相談を検討されている方、同業の方、そして意外にも事件の相手方の方まで読んでくださっていて、「ブログ読んでますよ」と言われると嬉し恥ずかしな気持ちになるのだが、ここ最近は、孤独感や漠然とした不安などの精神的な疲れからか迷走してしまっていて、皆様にもご心配をおかけしてしまった。

そのため、心機一転、記事を全てリセットすることにした。
今はすっかり調子を取り戻したので、これからも、帰宅後や移動中のちょっとした時間などに、自分の感性の赴くままに、弁護士っぽさゼロのエッセイを色々と書いていけたらと思う。

先日、弁護士になって以来最大級のすごい気づきがあったので、リセット後最初の記事はそのことについて書きたいと思う。自分の中ではコペルニクス的転回とも言える出来事だった。

もうすぐ開業して丸3年を迎えるが、オンオフ問わず色々な些細なことに虚無感や行き詰まりを感じていて、事務所の気も何となく滞っているなあ……と悩んでいた。
開業当初シンプルでまっさらだった事務所も、この3年間、行き当たりばったりで内装が増えていって、一見綺麗にはしているけれど何となくちぐはぐな感じが拭えない状態。

そこで、デザイナーとして活躍している心友(これは自己啓発的な当て字じゃなくて、ちゃんと辞書にも載っている言葉です)に、エネルギーの調整も含めて、事務所の内装をプロデュースしてくれないかと頼んでみた。

僕は弁護士バッジをつけるのが嫌なので(笑)、以前、代わりにつけるラペルピンを作ってもらったのだが、それ以外で彼女に仕事を頼むのは初めて。

彼女は天才的に感性豊かで、気を感じ取る力も強いので、彼女のセンスに丸投げしようと思った(信頼している人に丸投げすることの心地よいこと!)。

彼女も多忙ゆえ、たまに来てもらって時間が空いた時に少しずつ進めてもらう感じになるので、すぐリニューアルが完了するわけではないのだが、ここからあたらしい世界が開けていくんだと思うだけで気持ちが晴れやかになってくる。

事務所のロゴやホームページも、友人の紹介で知り合った同年代のウェブデザイナーの男性にお願いしてとても素敵なものを作っていただいたし、素敵な方のセンスや技術をたっぷり受け取れることは幸せだなと思う。

閑話休題。
大きな気づきというのは、彼女とカフェで打ち合わせをしているときのこと。
どんな方が事務所にいらっしゃるのか、ということをとても気にしていた彼女。どういう人がどういう状態で事務所に来るんだろうと。
そこで、(当然守秘義務には一切触れない範囲で)こういう感じでこういう悩みがある、俺としてはこんなふうにできたら良いのになという思いがある、などなど、一町弁の現状について、色々なことを話した。

そうしたところ、彼女は、
「その人たちのピカピカな本質を確信してあげることが大切だよね。目に見えないものもとても大事。」
とポロッと言った。

どういうことだろう。

より深く話していくと、大要、誰もが本質において本当はピカピカで、自分の意思で現状を超えていく、これからの自分を作っていくことができる。事務所の空気と弁護士の態度次第で、それをうまくお手伝いすることができる、ということだった。

正直、雷に打たれたような衝撃を受けた。
今までは、事務所にいらっしゃる方々に対し、共感や受容など、心理分析をしながらアプローチしていた。口数も多く、相手の心に働きかけていた。
もちろんそれも間違いではないと思うし、AIみたいに「できるできない」しか話さない理屈っぽい弁護士よりはよほどニーズを汲み取っていたとは思う。
けれど、感情は些細なことで揺らぐし、言葉を本当に適切に使えている人は(自分も含めて)ほとんどいない。発言も本当の真意でないことなどいくらでもあるのだ。

だから、「ピカピカの本質を確信する」という、まさにノーガードとも言えるメチャクチャにオープンな方法であらゆる人と対峙する。そうすると、細かいことが気にならなくなり、ハイヤーセルフの視点から物が見れるようになる。俺自身のメンタルも壊れにくくなる。言葉で依頼者を説き伏せようとならなくなる。自然な状態でいいんだと。

息子と公園で遊んでいるとき、息子はもちろん可愛いしピカピカの心だと思っているけれど、一緒に遊んでいる他の子どもたちを見て、「この子はピカピカじゃない」なんて思うだろうか。思うわけがない。たくさんの子どもたち、誰もが心はピカピカで無限の可能性に満ちているんだ。そう思うだろう。

そうすると、大人たちとどう違うのだろう?生きていく中で歪んだり殻をかぶったりいろんな色に塗りたくられたりしたかもしれないけれど、本質は子どもの時から変わるはずがない。くすんで見えにくくなっているかもしれないけれど、本質は誰だってピカピカなのだ。

俺がまずやるべきは弱さの受容や悲しみの共感ではない。ピカピカな本質の確信だ。
そうしたら、受容や共感など、自然に適切な形でついてくる。

「私だって、もちろん人間として限界はあるから、すごく病んでてわがままな人とかには、ごめん今の私にはもう無理!ってなっちゃうこともあるけどね」と彼女は笑う。
「大事なのは依頼が終わってからだと思う。前を向いていけるかどうか。」
俺もそれは本当にそう思う。法律は正しさや優劣を決めるものではない。ただ人間関係を調整して紛争を解決するための指針、拠り所でしかない。

弁護士として、法の扱いの技術はずっと磨き続けたいし、自分自身、開業以降もめきめき成長している自負はある。
けれど、一番は依頼者の方にピカピカな本質のまま輝いてもらうこと。もっと言えば、相手方にもいずれ輝いてもらいたい。
裁判でこっちが勝っても、負けた相手方に思いを致すことがよくある。
あの人はどう生きるだろうか。これからこの結果を受け止めつつ、幸せになってもらえたらいいな、と。

依頼を受けたからには、法的には依頼者の味方として最後まで、時には裁判所や相手方にとって「丁寧だけど食えないやつ」にもなって、やれることをやる。けれど相手方に不幸になってもらいたいとは思わない。自分は当事者ではないし、そういう仕事ではない。

太陽のエネルギーから春を感じる今日この頃。
きっと桜が咲く頃には、僕自身もピカッとした心で、開業4年目、新たな世界が開けているだろう。
事務所の内装も含めて、乞うご期待(ハードル自分で上げる奴)。


saitoyuta
弁護士

横浜・桜木町を拠点に活動する弁護士。弁護士9年目。5年3か月の勤務弁護士時代を経て独立開業。精通分野は交通事故(被害者側)。水瓶座O型。

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