横浜の風景

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2020年6月13日

びしょ濡れディナー

アイキャッチ画像 情景

土曜日。雨。

仕事を終え帰宅したら、息子が満面の笑みで駆け寄ってきて、これからパパと「となりのこうえん」に「しゅっぱつ」するという。

最近レインコートを買ってあげたので、別に雨の日に散歩するのは構わないのだけれど、息子は夕飯の時間で、もう準備もできていた。食べてから出かけようねというと、大泣きして、「いま!いま!まず!しゅっぱつ!」と言って聞かない。

あまり子どもの希望に対してダメだよとは言いたくないのだけれど、食事と睡眠のサイクルはしっかり守らせたいので、どうしようかと思っていたら、それなら隣の公園でごはんを食べるという。

雨の公園のベンチ(屋根無し)でごはんとか正気か……と思いつつ、なんかここで「ダメ、家でごはんを食べなさい!」と言っても絶対聞かないし泣き叫ばれ続けるだけだし、それなら一度びしょ濡れディナーを一緒に経験して「あ、雨の日は家で食べたほうがいいな。。」って思ってもらえばいいやと思い、出かけることにした。

誰もいない雨の公園のベンチに座って、傘をさして抱っこしてお弁当箱に入れた夕飯をスプーンで口に運ぶ。当然傘もうまくさせないしまあ服も靴も全然濡れるんだけどそんなこと構っていられない。外に出て落ち着いたようで、静かに全部食べてくれた。

食べたらバス停にバスを見に行きたいという。手をつないで歩いてバス停に着くと、ちょうどバスが行ってしまったところだった。まじか……。

バスが来るまで最近閉店した店の軒先で雨宿りすることにする。とはいえ全然濡れるので、二人とも傘はさしたままだ。

息子はまだ手の力が十分でないので、片手で傘の取手を持てない。根元の方を持っている。取手を両手で持ったら?と言って繋いでいた手を放すと、「てて、つなぐの!!」と泣く。そんなこんなで、手を繋いで、トトロのワンシーンみたいに二人ともキョトンとした表情で傘をさしてバスを待っていた。

雨の音を聞きながら、ふと思った。なんか雨の公園でごはんを食べさせるとかとんだ災難だと思ったけれど、こんなよくわからない経験ができたのもこの子のおかげだなとか、案外、びしょ濡れディナーも悪くなかったなとか。

パラレルワールドの自分は家で息子と正面から戦って、ムキになって「家で食べなさい、食べないと外に行かないよ」と言い続けている。きっと無理やりごはんを食べさせてイライラした状態で外に出ても、この雨の美しさには気付けなかっただろうな。

そうこうしているうちにバスが来て、バスに手を振って、また手をつないで家に帰る。

帰り道、道端の駐車場で若いカップルが一つの傘に入って座り込んで談笑していた。いいな、と思った。服が濡れるとか、行儀が悪いとか、そんなこと別にどうでもよくて、今彼らにとってはこの雨は澄んでいてキラキラしているんだろうなと思った。ちょうど、最近買ってもらったお気に入りのレインコートを着てバスを待つ息子にとっての雨と同じように。

そういえば、学生時代に初めて彼女とキスをしたのは土砂降りの公園だったなとか、そんなことを思い出した。

函館で一人暮らしをしていたとき、お気に入りのカフェからバイクで帰る途中に大雨になって、ずぶ濡れになって帰宅して、服を脱いでシャワーを浴びようとしているとき、なんかこういうシーンってジブリにありそうだよなって思えて、ちょっと嬉しくなったことも思い出したり。

説明が最後になってしまったけれど、今日のアイキャッチ画像は、息子が初めて自分で描いた絵。何を描いたの?と聞いたら、「雨」だという。

情熱的で、水色を使わない雨の表現、パパは好きだな。


saitoyuta
弁護士

横浜・桜木町を拠点に活動する弁護士。5年3か月の勤務弁護士時代を経て独立開業。一児の父。精通分野は交通事故(被害者側)。

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